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あきパパのつぶやき

志賀直哉の『ナイルの一滴』

私のターニングポイントになった本は、高校生の出会った志賀直哉の『ナイルの一滴』とういう短文です。

「人間が出来て、何千万年になるか知らないが、その間に数えきれない人間が生まれ、生き、死んで行った。私もその一人として生まれ、今生きている のだが、例えていえば悠々流れるナイルの水の一滴のようなもので、その一滴は後にも前にもこの私だけで、何万年溯(さかのぼ)っても私はいず、何万年経っても再び生まれては来ないのだ。しかも尚その私は依然として大河 の水の一滴に過ぎない。それで差支えないのだ。」
(『ナイルの一滴』 岩波書店

後から知ったのだが志賀直哉の最後の作品である。

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自分は、その一滴が「大河」を作る。一滴が大河と同質である。この一滴はかけがえがないものである。
地球の人口が何億人であろうが、我の命はその大河の一滴にすぎない、唯一無二の、かけがえのない一滴であるということであることを感じ、その後の生き方に繋がるものとなっている。

スマップの「世界に一つだけの花」歌詞にある「もともと特別な only one 」は志賀直哉の言葉(作品)を現代に若者に伝えている。