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あきパパのつぶやき

記憶がフラッシュバックする「プルースト効果」

嗅覚や味覚から過去の記憶が呼び起こされる心理現象のことを言います。
名前の由来は、フランスの文豪「マルセル・プルースト」。
彼の小説『失われたときを求めて』の中で、主人公が紅茶にマドレーヌを浸したときに、
その香りを嗅いで幼少期の記憶がよみがえるシーンがあり、その描写が元となっています。

かつての文豪が描いたこの不思議な現象は、
科学の力によって次第に解明されてきました。
いまだに謎が多い脳のメカニズムですが、
「におい」から思い出される記憶は他の感覚器からの刺激よりも
情動的な反応を引き起こす、ということも分かってきています。

■「嗅覚」は、五感の中でも特殊な存在

「におい」を感知する「嗅覚」は、五感の中で唯一「大脳新皮質」を
経由しないことでも知られています。嗅覚だけは、他の五感と違って
「大脳辺縁系」(海馬・扁桃(へんとう)体など)と直接つながって
いるのです。これは、喜怒哀楽などの感情や、食欲などの本能行動な
どをつかさどる部分。つまり言い換えれば、「におい」は本能的な行
動や感情に直接作用する、ということです。

■「におい」の記憶は薄れにくい

「におい」の記憶は、視覚的な記憶に比べて忘れにくいというデータ
もあります。視覚・嗅覚それぞれの刺激における再認率と把握期間と
の関係を調べた実験では、視覚的記憶が短期間で急速に低下したのに
対し、「におい」の記憶は1年たってもほとんど変わらなかったそうです。

脳のメカニズムとの特殊な関係があり、長期間たってもなかなか薄れな
い「におい」の記憶。特に喜怒哀楽や恋愛感情などに結びついた記憶は、
「におい」との関係性が強いと言えそうです。今後「ずっと忘れたくな
い」と思う出来事があれば、「におい」で覚えておくとよいかもしれません。

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